学術集会会長あいさつ

第3回日本メディカルAI学会学術集会
会長 井元 清哉
(東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター 健康医療インテリジェンス分野 教授)

人知とAIの協働

世界的にコロナ禍の影響が続く中、学会として状況を見守って参りましたが、このたび2021年6月11日(金)・12日(土)の2日間におきまして、第3回日本メディカルAI学会学術集会を開催する運びとなりました。

昨年は5Gによる高速インターネット通信が本格的に始まりました。多種多様なIoTデバイスは、我々の生体情報や生活空間さえもリアルタイムに計測しデータ化します。それらは瞬時にクラウド上にアップロードされ、健康医療のビッグデータとなり、私たちの生活するフィジカル空間とインターネット上のサイバー空間が一体となったSociety5.0が始まります。その恩恵を私たちが享受するためには、AIの活用が鍵という事は言うまでもないでしょう。一方、これまで医療分野におけるAIは、医師や医療従事者が行っている業務を代替するものとして多くは位置づけられ、その性能の評価が学術論文において報告されてきました。その際、多くは人とAIの認識率(精度)を比べることによってAIがどの程度人間の認知能力に近づいたのか、AIが人を超えたのかという「人間 vs AI」という図式がその背景にはありました。これらはAIの発展に必要なプロセスでしたが、今、私たちは次の段階に進む時期が来たと感じています。これからはAIを使いこなし、人間中心のAIと共に新しい時代を創っていくことが求められます。その想いを第3回のテーマ「人知とAIの協働」という短い言葉に込めました。医療分野におけるAI開発を行う研究者、その実用を目指す実務者、また、AIを構築するためのビッグデータを取得する医療関係者、社会実装に向けた倫理・法・社会的課題に取り組む研究者など幅広い観点からの丁寧な議論を展開していきたいと考えています。

2020年は、世界は新型コロナ(SARS-Cov-2)パンデミックにより、研究活動はもとより社会活動も大きな制限を受けました。パンデミックの勢いはいまだ衰えることがなく、その影響は2020年末においても続いております。このことにより私たちの生活様式は、大きな変化点を迎えました。また、研究に限らずテレワークという言葉が一般的となり、図らずも日常のオンライン化が進むこととなりました。この影響を受け、当初は2021年1月に計画していた第3回大会ですが、同年6月に延期いたしました。開催形態は最後まで迷いましたが、対面、ハイブリッド、オンラインのそれぞれの良さがあるものの日本メディカルAI学会の、医療のデジタルトランスフォーメーションを推し進めるというミッションを思い、今回は完全オンラインでの開催と致しました。オンライン開催の利点を活かした柔軟な学会運営に努めプログラムを作成しておりますので、皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げております。